睡眠の質を高める為に 不眠の原因と対策
年齢を重ねていくにつれ、睡眠が浅くなったり、眠れなくなるなる方も多いのではないでしょうか。
夜に眠れない、寝つきが悪い、寝た気がしないという訴えがあり、これに加えて日中に気分が落ち込む、眠気が強い、体調が悪いなどの機能障害がともなう場合、不眠症と診断されます。
なぜ眠れなくなるのか、快適な睡眠の為に何をすべきか、その原因と対策をご紹介します。
高齢者の不眠の主な要因
年齢を重ねるにつれて、若い頃と同じようには眠れなくなってきます。眠れないことが原因で生活のリズムが崩れ、様々の問題が起こってきます。
眠れなく原因はいくつかありますが、中には高齢者特有のものもあります。
日中の活動量の低下
人は体力を回復する為に睡眠をとります。しかし、日中の活動量が低下していれば、そもそも疲れることがない為に体力が余る状態となります。睡眠するきっかけとなる疲労が溜まっていなければ、睡眠のスイッチが入りにくくなってしまいその結果、睡眠不足になる方も多くいます。
こうなると日中に眠たくなり、昼寝をしたりしてさらに活動量が低下し、昼夜逆転にも繋がります。それを防ぐためにも、日中の活動量を確保するのはとても大切なことです。
体を動かすことは、筋力の維持向上にも繋がります。日頃から散歩をしたり、体を動かす習慣をつけましょう。
生活リズムの変化
加齢に伴い、一日で必要とされる睡眠時間は次第に短くなると言われています。
例えば夜9時に寝て夜中の3時に目が覚めたとしても、6時間は寝ているので、睡眠時間は十分に取れています。
また、睡眠自体が浅くなり、昼寝も増える傾向にあります。
トイレが頻回
加齢に伴いトイレが近くなる為、夜中に目を覚ますことが多くなります。また、入眠に時間がかかることで、睡眠時間の減少に繋がります。
すると睡眠が浅くなり、中々疲れが取れなくなります。
足腰の痛みなど
身体疾患により体の痛みで眠れないことがあります。狭心症や心筋梗塞、関節リウマチによる胸や脚の痛みなどがあげられます。
痛みのが気になり眠れず、翌日の昼寝をしてしまい昼夜逆転してしまうこともあるでしょう。
「睡眠障害の対処法12の指針」からみる高齢者の日々の睡眠改善法
これまで見てきたように、高齢者の3人に1人は睡眠障害があるとされ、認知症高齢者に至ってはその割合はより高まると分かりました。このことからも、睡眠障害は高齢者にとって当たり前の病気と捉えることができるでしょう。そのうえで、睡眠障害にうまく対処していく方法を知ることが必要です。
厚生労働省は、睡眠障害に対処する12の指針を公開しています。指針の一部を抜粋して紹介します。
1.睡眠時間は人それぞれ。日中に眠くならなければ十分
2.刺激物を避け、眠る前にはリラックスする
3.眠くなってから床に就く。就寝時間にこだわらない
4.同じ時刻に毎日起床する
5.日中は日光を浴び、夜は照明の光量を調整
6.規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
7.昼寝をするなら、15時前の20~30分
8.眠りが浅いと感じたら、遅寝・早起きを励行する
9.イビキや呼吸停止、足のぴくつき、むずむず感は要注意
10.十分眠っても日中の眠気が強い場合はすぐに専門医へ
11.睡眠薬代わりの寝酒はしない
12.睡眠薬は医師の指示のもと使用する
厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費
「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班」
平成13年度研究報告書より
まとめ
若い頃よりも眠れなくなったら、不安に感じる方も多いでしょう。睡眠量の減少は、加齢に伴う自然な変化です。ただし、日々の生活習慣に不眠が隠れていることもあります。
気になっている方は、生活習慣を見直すことをお勧めします。日中はしっかりと体を動かすことを心掛け、メリハリのある生活を送りましょう。